森林3次元計測システムOWLについてよくお問い合わせいただく内容をQ&Aの形式でまとめております。
装置の仕様について | 計測について | OWLManager(ソフトウェア)について | 保守について | その他
装置について
推奨バッテリ(株式会社アイ・ディー・エクス社製 CUE-D75)において、満充電の場合は200回以上のスキャン、時間にして約6時間の使用が可能です。詳しくは OWL計測装置の仕様 をご参照ください。
検出保証距離は30mです。ただし、これは特定条件下のメーカー室内環境での値であり、林内使用での精度を保証する数値ではありません。
「検出保証距離 30m」は、レーザを遮るものがない状態 での検出保証距離としています。屋外、特に森林では、枝葉やツル等の様々な遮蔽物があるため検出可能距離はさらに短くなり、樹高は低く計測される可能性があります。
また、高密度林分のように林冠がうっ閉している場合は、レーザが林冠で遮られるため、正しい樹高の検出が難しくなります。
強力なレーザを使用することによってレーザの到達距離が伸びるため、より広範囲な検出が可能と考えられますが、手前に立木や低木の葉等レーザを遮蔽するものが存在する場合は、レーザの到達はそこまでとなり強いレーザを活かしきれません。つまり、計測精度は計測方法や計測環境にもよるため、精度向上とレーザ強度は必ずしも比例するとは限りません。
レーザスキャナはFDA安全レベルクラス1です。レーザが眼に入っても安全とされていますが、不必要に直視することは避けてください。
- ポイント点数:43,200点/sec 1,944,000点/計測
- ステップ角度:0.25°
- ステップ数:1,080
- 走査時間:25msec/scan
下図をご参照ください。
OWL計測装置はGPSを搭載しています。搭載しているGPSの最新ファームウェアでは、日本の準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」の受信に対応しています。
GPSで取得した位置情報は専用ソフトウェア(OWLManager)を使用してCSVファイルやシェープファイル形式で出力することができます。(シェープファイルとは、地理情報システム(GIS)間で相互運用できる標準形式のファイルです。)
GPSの精度は使用環境によります。また、OWL計測装置に搭載しているGPSは、GPS専用機器ほどの測位精度には対応していません。
計測について
小雨の場合でかつスキャン時にレーザスキャナ部の水滴を拭き取っていただければ計測可能です。
レーザスキャナに水滴が付着している状態でスキャンを行うと計測精度に影響したり、専用ソフトウェア(OWLManager)の3次元立木マップ(ウォークスルー)上に大きな影が出現したりします。また、地面や立木が濡れていることでレーザの反射強度が弱くなる可能性もあることをご理解、ご了承の上でご使用いただくことになります。
小雪程度であれば計測は可能ですが、本降りの雪や牡丹雪の場合は、計測精度に影響する場合がありますので、使用を控えてください。
小雪の場合でもレーザスキャナの水滴は拭き取っていただく必要があります。レーザスキャナに水滴が付着している状態でスキャンを行うと計測精度に影響したり、専用ソフトウェア(OWLManager)の3次元立木マップ(ウォークスルー)上に大きな影が出現したりします。また、地面や立木が濡れていることでレーザの反射強度が弱くなる可能性があることをご理解、ご了承の上でご使用いただくことになります。
霧発生時の計測はできません。レーザが霧に遮られてしまい立木を検出することができません。
針葉樹のように真っ直ぐに伸びた立木を対象としています。例えば、曲がりの大きい木や傾斜した木の計測には不向きです。
樹種の判定・判別をすることはできません。
OWL計測装置で枯損木の判定はできませんが、あらかじめ枯損木に反射材を巻いてスキャンをすることで、専用ソフトウェア(OWLManager)上で「反射材立木」として扱うことができ、後から識別と確認をすることができます。
下層植生や低木の状況にもよりますが、計測対象となる主林木の周辺にササ等が密生していたりツルが繁茂していると、解析(データ結合)処理に影響します。確実に計測するためには、必要に応じてこれらの下層植生や低木を除去した方がよい場合があります。詳しくは 林内の状況について をご参照ください。
シダやササが密生した状態での計測はできません。解析(データ結合)処理に影響します。確実に計測するためには、計測対象木以外を除去してください。詳しくは 林内の状況について をご参照ください。
立木が極端に密生していると、レーザが立木の幹や枝葉に遮られてしまい立木の検出に必要な点群データの数が少なくなるため、計測ができない(立木の検出ができない)場合があります。ただし、レーザが遮蔽されない位置にOWL計測装置を設置する等、設置場所を工夫することで計測ができる可能性はあります。
逆に立木本数が少なく立木同士の間隔が10m以上も離れているような場合は、レーザが遮られる心配はありませんが、立木の検出に必要な点群データの数が少なくなるため、やはり同様に計測(立木の検出)は難しくなります。
天然更新した稚樹が密生しているような場所は、幹だけでなく枝や葉等でもレーザが遮られるため、計測精度に影響する場合があります。密植した人工林等でも同様に計測が難しい場合があります。ただし、レーザが遮蔽されない位置にOWL計測装置を設置する等、設置場所を工夫することで計測ができる可能性はあります。
計測精度を上げるため(より多くの点群データを取得するため)には、レーザスキャナのセンサから照射されるレーザができるだけ広い範囲に到達される必要があります。
OWL計測装置のレーザスキャナのセンサ部分は地上高約2mの位置にあるため、間伐を実施するような4齢級(15年生前後)以上の森林では問題ありませんが、より若い人工林で枝下高が低く、レーザセンサ部の近くが枝葉で覆われていると、レーザが遮蔽されてしまい計測精度に影響します。枝下高が極端に低い森林での計測には向いていません。
ただし、三脚 を使用してOWL計測装置を低い位置に設置することで計測できる可能性はあります。
落葉すると樹冠先端まで見通せるようになりますが、細い枝先等ではレーザ反射が少なく(あるいは弱く)なるため、樹木の検出に必要な点群データが得られず、結果的に樹高が低くなる可能性があります。
渓畔林や湿地のように水面がある場所では、レーザが反射・散乱してしまい地面を正しく検出できないため、水際や水面から生えている樹木の計測はできません。
レーザは高圧電線の影響を受けません。また、OWL計測装置本体内部の制御コンピュータについても高圧電線の影響を受けることはありません。
地際50cmから6mの高さまでの最大矢高を算出しています。
解析(データ結合)処理に必要な基準マーカーの設置は不要です。OWL計測装置のみで計測を行うことが可能です。
現在は対応していません。OWL計測装置はGPSを搭載していますが、GPS計測だけを行う機能は有しておりません。
【参考】
専用ソフトウェア(OWLManager)には、地面付近にある反射材を「杭」として検出する機能があります。あらかじめ境界となる位置の地面付近に反射材を設置してスキャンすることで、専用ソフトウェア(OWLManager)上で境界の識別等に利用することができます。(下図の□が杭の位置を表しています。)
約10m間隔でのスキャンを推奨しています。レーザの検出保証距離は30mとなっていますが、林内での保証値ではありません。立木検出精度を考慮したスキャン間隔です。詳しくは スキャン間隔 をご参照ください。
スキャンをする場所の状況にもよりますが、1スキャンあたりおよそ20MB~30MB程度となります。
1スキャンあたりのデータ量はおよそ20~30MB程度で、USBメモリの空き容量の分スキャンをすることができます。スキャンをした地点数とその解析(データ結合)処理に必要なPCの性能については、 動作環境 をご参照ください。
OWL計測装置を地面に対して垂直に立てて計測します。鉛直に立てるとレーザが届かないデッドゾーン*の範囲が大きくなり、立木の検出や解析(データ結合)処理の結果に影響する場合があります。
*レーザが届かないデッドゾーン:下図のメッシュ領域
実際の計測使用イメージは OWLの林内計測 をご参照ください。
解析(データ結合)処理を行うPCの性能にもよるため、計測可能範囲は、最大で2、3haを想定しています。
- 標準地調査等の比較的狭い範囲における利用の場合
以下の表は、約400㎡程度の範囲を計測する際の手計測と比較したものです。本数は、60本(1,500本/ha)で起伏等の変化が少ないとします。
- 広域範囲における利用の場合
以下の表は、1ha程度の範囲を計測する際の手計測と比較したものです。
OWLManager(ソフトウェア)について
OWL計測装置で計測したデータを解析(データ結合)して表示することができます。立木の位置図、1本1本の立木情報一覧(直径、樹高、材積等)や、点群データを3次元で表現したウォークスルー(3次元立木マップ)で、計測した場所の状況を確認することができます。詳しくは OWLManager 機能紹介 をご参照ください。
動作環境 をご参照ください。
1,500本/haの400㎡程度のプロット調査(9地点の計測)の場合、2~5分ほどで解析(データ結合)することができます。1ha程度の場合の解析(データ結合)処理時間は約1時間です。ただし、PCの性能にもよります。動作環境 をご参照ください。
カスタマイズや独自機能の実装は可能です。別途ご相談ください。
ソフトウェア自体は複数のPCにインストールすることは可能ですが、使用にあたりハードウェアキーが必要です。1ライセンスのご購入に対して1個のハードウェアキーをご提供いたします。
pcdファイル(点群データ)とvtkファイル(地面データ)の形式で出力できます。
林野庁監修の「立木幹材積表」および以下の学術論文に基づいています。
『「現行立木幹材積表と材積式による計算値との相違およびその修正方法」 森林計画学会誌44巻2号:23~39ページ、2010年12月発行』
バイオマスは国際会議IPCCにおいて承認の日本政府公式算定式に基づいています。
「木1本に固定されている炭素の量(PDF)」(出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所)
※バイオマスの算出には21年生以上の林分に適用される係数を使用しています。 ※乾燥重量になります。
OWLManagerでは、GPSで取得した立木の位置情報をシェープファイル形式で出力することができます。(シェープファイルとは、地理情報システム(GIS)間で相互運用できる標準形式のファイルです。)
OWLManagerで出力したシェープファイルをお客様ご自身でご利用のGISソフトウェアにて読み込み、ご活用いただいている事例がございます。GISソフトウェアは無料のものから高機能を備えた有料のものまで幅広く存在します。
※他社のソフトウェアのサポートに関しては弊社では行っておりません。具体的な操作方法等のご質問にはお答えしかねますのでご了承ください。
※OWL計測装置は、GPS専用機器ほどの測位精度には対応していません。そのため、実際の位置とは多少ずれることもございます。お客様にはご理解の上、GISソフトウェア上で位置を調整する等してご利用いただいています
OWLManagerでは、OWL計測装置のGPSで取得した立木の位置情報をCSVファイル形式で出力することができます。このCSVファイルを直接CADで読み込むことはできませんが、CADに読み込める形式に加工して利用していらっしゃるお客様の事例がございます。
※他社のソフトウェアのサポートに関しては弊社では行っておりません。具体的な操作方法等のご質問にはお答えしかねますのでご了承ください。
※OWL計測装置は、GPS専用機器ほどの測位精度には対応していません。そのため、実際の位置とは多少ずれることもございます。お客様にはご理解の上、CAD上で位置を調整する等してご利用いただいています。
OWLManager Ver.1.x系のバージョンアップは2019年秋頃に終了する予定です。以降はVer.2.x系に移行します(リリース次期未定)。 Ver.1.x系のバージョンアップは無償でご利用戴けますが、Ver.2.x系はサブスクリプション方式を予定しています。 なお、Ver.1.x系のバージョンアップ終了後もご希望のお客様にはVer.1.x系を従来通り販売を致します。
保守について
・メンテナンス(点検)について
ご購入後は1年毎に点検を行っております(有償)。価格や点検内容につきましては、別途お問い合わせください。
・保証について
保証期間は製品納入日から1年間です。正常なご使用状況で保証期間内に故障した場合は、無料で修理いたします。ただし、保証期間内でも以下の場合は有料修理となります。
- 地震、水害、落雷、その他の天災地変による故障・破損
- 落下・衝撃等お客様の取扱いによる故障・破損
- お客様のご使用環境や製品の管理方法に起因して生じた故障・破損
- 不適切な改造や修理、取扱説明書で推奨されていない使用方法を行ったことによる故障・破損
- 消耗部品の消耗、摩耗または劣化による性能低下や故障、消耗部品の交換
※保証の詳細は、製品ご購入時同封の保証書に記載しております。
その他
Optical Woods Ledgerの略で、森の番人である「ふくろう」とかけています。
レンタルも承っておりますが、数に限りがあり、日程や期間調整のご相談をさせていただく場合もございますのでご了承ください。
※装置のレンタル期間が短期間の場合でも、解析するソフトウェアは長めにレンタルいただくことをおすすめしております。
受注後、約2~3カ月です。在庫がある場合は約2週間で納品できます。在庫状況に関しては別途お問い合わせください。
OWL計測装置の操作自体は簡単でどなたにでも使いやすい設計となっておりますが、計測には多少のコツや工夫が必要です。より効果的にOWL計測装置を活用いただくために、ご購入またはレンタルいただいたお客様には、導入トレーニング(有料)を実施しておりますので、ご安心ください。